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診療部長あいさつ


 2011年3月11日東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0と歴史に残る大規模なもので、4月1日現在死亡者数は1万人を越え、日々確認数は増加しています。地震に伴う津波による被害は想像を絶するような甚大なもので、日々報道される瓦礫の積み上げられた荒地が住宅街であったことなど全く想像もできないほどです。さらに日々マスコミを騒がせている福島原発問題は、経験のないことだけに底知れる恐怖を皆感じていることと思います。
数多くの亡くなられた方々にはご冥福をお祈り申し上げます。まだまだ復興までには遠い道のりですが、日本全国また世界からも支援の手が差し伸べられ、自分には何ができるのかと考えさせられました。
3月15日には22時31分に富士宮を震源地とするマグニチュード6.0強の地震がありました。東北の大震災直後で、誰もが「東海大地震がとうとう来たか」と肝を冷やしました。当院では、遅い時間にかかわらず多数の職員が集合し、トリアージ体制がとられました。幸い重症患者も少なく、救急車で数人が搬送されただけに止まりました。しかし、この地域で重症患者を受け入れ可能な病院は当院のみであり、数十人、数百人単位の患者が押し寄せてきた場合はどのように対応したらいいのか不安にもなりました。大規模災害時、この富士富士宮医療圏は。周囲の交通網が遮断され、東京方面からも静岡・浜松方面からも応援が期待できずに孤立してしまうことが危惧されます。重傷者が多数生じた場合の対応は、いかに後方の受け入れ病院(被災地域外の)にすばやく搬送することができるかにかかっています。院内のトリアージ体制、院外への搬送体制、近隣病院との協力体制など、今一度確認が必要と感じました。
さて、新年度になり若手医師数名の勤務交代がありました。医師不足問題は、静岡県東部地区は特に深刻で、若手医師の退職後大学から補充があるのかどうかはいつも心配の種です。行政としてもこの地域にいかに若手医師を招聘するか、さまざまなプロジェクトを立ち上げています。昨年の日本臨床外科学会に参加した折、舛添元厚生労働大臣の講演を聞きました。医師不足問題に関して、政府の取り組みとしては医師数の増加に力をいれると強調されていました。医師不足問題を日々実感している私たちにとっては、喜ばしいニュースではありましたが、会場からは「お願いだから医師を増やすなんて馬鹿な考えは止めてほしい。これ以上医師が増えてもレベルの低下を招くだけだ」との意見が述べられ大きな拍手で受け入れられていました。現実に医師が不足しているのは、当院のような地方の病院の勤務医です。都会では、開業医はもとより勤務医も十分すぎるほど満たされており、医師不足というよりは医師の偏在といえる状況です。そこには医師不足だけに止まらず様々な医療問題が絡み合い、簡単には解決策が見出せないところまできています。
当院では3月からは外科、整形外科の外来が紹介・予約制となりました。これらが全て医師不足問題に起因するわけではありませんが、当院のような中規模の地方病院が現在の機能を保ちつつ生き残っていくにはどうしても必要なこととご理解いただきたいと思います。病院の理念に掲げられた「患者本位の医療」が当院の使命であることにはかわりがありません。少ない医療資源で、入院加療の必要な重症患者主体の治療を行うために苦渋の選択をせざる終えない状況です。現在の当院の医療体制は、市民の皆様のご理解・ご協力がなくしては到底継続できるものではありません。市民の皆様にはご迷惑をおかけすることとなりますがよろしくお願いいたします。

診療部長 川辺昭浩
2011年 4月 1日


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